木を知りいかす。
木のすばらしさは
無垢の状態でこそ。

無垢の木の話
家工房の家造りには、数えきれないほどの木材を使用します。暮らしの中で日々目に映るところから、見えないところまで、その全てが何も塗装しない「無垢」の木です。現在、多くの建築の場面で使用される「木」は、そのほとんどが加工を施されています。つないで積層材、くっつけて集成材、つやを出し塗装してフローリング材、薄く切って貼って合板材など…、便利さを追求することで多くの材料が出来ました。傷がつきにくかったり、加工しやすかったり、反らなかったり、たくさんのメリットがあります。その便利さの一方で、この「加工」には接着剤やワックス、防腐剤や防カビ材など、さまざまな化学物質が使用され形を形成しているのです。化学物質が人にいい影響を与えないことはなんとなくわかっていることですが、さらに木そのものの力を全く無いものにしているということもお伝えしたいポイントです。
ヒノキ・スギ・マツ、サクラ・クリ・クスノキ・ケヤキ…、日本にはいろいろな木があり、それぞれに特性と持つ力があります。
たとえば柱は、上からかかる重量に耐え、揺れに対する強さが必要です。寒さと暖かさの気温差に耐え育ったヒノキは、力強く柱には最適な木です。
梁や桁などの横向きに入る材料には松が適しています。丸太のままの弧を描いた松は柔軟性に優れ、ねじりに強く地震などの大きな揺れから家を守ります。家の一番上の一番揺れる位置で家全体のねじりを受け止め、長い間家を守っています。
壁には杉が適しています。柱一本でビール瓶2~3本分の水分を吸うことができるといわれる杉は、湿気を吸ったり吐いたりする力に優れており、家の外壁で外部の湿気を、内壁で室内の湿気を調整します。室内の床から90センチほどのところは湿気がたまりやすいので、この位置まで杉で腰板をいれると室内が驚くほど快適になります。
他にも湿気に強くカビが生えにくいヒバや、傷がつきにくいサクラやケヤキなど、それぞれの持つ性質を最大限生かす使い方をすることで、木は長持ちし、家は快適に、結果として「家という財産」を健全に持ち続けることができるのです。この効果は、無垢の木ならではの効果で、加工をしてしまうと木々それぞれの良さがなくなってしまいます。
さらに、無垢のままの木はずっと生き続け、その効果が持続するのですが、育った環境とあまりにも差があれば死んでしまいます。外国の温暖な地域で育った木は、その地方でしか健全に生きられません。寒く厳しい気候で育った木は日本のような温暖な地方では生きられないのです。どんな地方で育って、どんな性質を持っているかを見極めることが大切です。
家工房の家はヒノキ・スギ・マツを中心に使用しますが、その全てに理由があり、さらに一本一本どこで育ったかを大切にしています。それらの材料を替えることはできません。お客様の大切な財産を守る為のこだわりです。